あと1時間ちょっとで3年生の卒業式が始まる。

入館するまでの間、私たち2年は外の体育館裏に集まって待機していた。



当事者でないこともあってか、
あまり緊張感もなくおしゃべりしているクラスもある。


そんな中、私一人だけはどこかソワソワと落ち着かず…
偶然、窓ガラス越しに映った自分の髪型に目が行く。


「……」


(も、もうちょっとだけここらへん直そっかな)


別に誰も見てないだろうに、些細なとこが気になってしまう。

体育館のガラスを鏡代わりに必死で留めなおしてたら、リボンを地面に落っことしてしまった。


あっ……


急いで拾おうと、しゃがみこもうとしたとき


誰かが先にそれを手にとって、私に差し出してくれた。