「あっ!優衣、可愛い~!」

「うん、いいじゃん、すごい似合ってる」


ーーしばらくして女子トイレから一人コソ…と出てきた私に、廊下で待っていてくれた二人が声を揃えて誉めてくれた。


「へ、へへ…ほんと…?」


照れながらも、つい口元がはにかんでしまう。

そんな私の後ろ髪に留めてあるのは、さっき二人がプレゼントしてくれたバレッタのリボン。


「ほんとほんと!これ付けた優衣見れば、あの広瀬先輩もイチコロだって~」

「え?あ、あはは…」


それだけは絶対ありえない…

と、ツッコミをいれたかったけど、とりあえず笑ってごまかした。



視線の先では、窓から桜の花が咲いているのが見える。



……今日は3年生の卒業式。


二年である私たちも式に同席し、先輩たちの門出を見届けることになっている。

だから今日の卒業式は二人からもらったこのリボンを髪に留めて出ることにしたんだ。


緊張からか、やたら自分の髪を触る私にみーちゃんが口を開く。


「…で、卒業式終わったら言うんでしょ?先輩に」

「……うん」

「うわぁ、ついに優衣が告白かぁ!なんかウチラまで緊張してきた」


ね!と、同意を求めようとするユカリ。

みーちゃんは「うちらが緊張してどうすんのよ」と相変わらずの返しをしていた。



「……」


とうとう今日の卒業式後、私はあの広瀬先輩を呼び出して告白すると決意した。



……でも、やっぱり一人じゃ心細くて。


結局二人にお願いして、一緒に付いてきてもらうことにしたんだ。