あの後すんなり一人で家に帰ることも出来ず
私は人気のない校舎の階段で座り込んでいた。


この時期になると太陽が傾くのも早くなって、床に反射する夕陽の光をぼんやりと見つめてみる。


…先輩。

きっとまだ加奈子さんのことが好きなんだ。


もしかしたら北高校へ行くと決めたのも、同じくそこを目指す加奈子さんを追いかけてかもしれない。


……サッカーの道を諦めてでも。



そう思ったとき、私は座り込んだままとっさに自分の体を丸めた。



「……」



人の気持ちなんて、やっぱりそう簡単に変わらない…。


分かっていたことなのに、いざ現実を前に突きつけられたら、どうしようもなく胸が苦しくなった。



「……うぅっ」



思わず目に涙が滲んで、抱えた膝に自分の顔を押さえ付ける。


そのまま一人泣きじゃくっていたとき
突然ーーガタッと上から聞こえた物音。



ビックリして顔をあげると、部活終わりの隼人がいた。