「「隼人と別れたぁ?!」」


夏休みが終わった9月。

始業式の放課後、
誰もいない教室でキーンと耳をつんざくようなユカリ達の声が響いた。

慌てて周囲を見た私は、二人に向かって手を合わせる。


「二人ともお願いだから静かに…」

「これが静かにしてられるかー!何で!?二人ともあんなにラブラブだったじゃん!?
なのに夏休み終わったら別れましたーって超意味わかんないだけど!?
はっ!さては隼人のやつ…!」

「ち、違うよユカリ!隼人は全然悪くなくて…」


ユカリにつられて、事情を知らないみーちゃんまでもが激怒していたものの、
私の止める声で二人の勢いがピタッと止まる。


そんなユカリ達を前に、力なく肩を落とした私は、夏休み明けですっかりホコリ立っている床をぼんやりと見つめた。



「…私から直接隼人に言ったんだ。別れようって」

「……」

「広瀬先輩のこと、やっぱり忘れられなかった…」



今と同じことを告げたおとといの夜

隼人はそれ以上、私に何も言ってはこなかった。


しばらくの間、ひとり座って沈黙していたあと


"…分かった"


と、顔も見ずにそう言い残して、部屋を飛び出して行ってしまったんだ。