「……優衣?」


そのままムク…と起き上がる私を、どこか戸惑った様子で見つめてくる隼人。


「……」


…このとき
私の目には涙が浮かびあがっていて、隼人がギョッとしたように体から離れる。


「あ…わ、わりっ、まじでごめん!まじで悪かった!そうだよな、下に親御さんとかも居んのに俺…」

「違…」

「え?」

「そうじゃないの…」


途中まで言いかけて、そのまま泣き出してしまった私を、隼人が心配げに覗きこんでくる。


「そうじゃないってどういう事だよ…?もしかして何かあったのか?」

「……」


うん。

あった、あったよ…。


「今日偶然、テレビで隼人たちが出てる大会を見たの」

「……」

「そのときに広瀬先輩も映ってるのを見て……」


気づいてしまった。

私、本当はまだ少しも先輩のこと忘れられていない。

今でもまだ好きだって。


先輩が優勝を決めたあの瞬間

私は自分の本当の気持ちに、気が付いてしまった。