「優衣、寝てるの?」


…あのあと、いつの間にか眠ってしまっていたのだろうか。

ふと、お母さんの起こす声で目が覚めた。

促されるまま、私は枕元から顔を見上げる。


「う、ん…?いま何時…?」

「もう優衣ったら。お祭りは行かないんじゃなかったの?隼人くんが今、下に来てくれてるわよ」

「え…」


“隼人”


寝ぼけまなこのまま、ウトウトと瞼をこすっていたものの、その言葉にハッとする。


バタバタと急いで階段を駆け降りると

玄関では…突然の訪問に抱きつく弟の優太と、それをあやす隼人の姿がいたんだ。