――えぇ!?!?


「今日の午後3時頃、日本の南海上で台風16号が発生しました」


母から耳を疑うような情報を聞かされ、
リビングへとすっ飛んでいった私はテレビの前で放心していた。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、スタジオに立つお天気アナウンサーはただ淡々とニュースを読み上げる。



「現在はゆっくりとした速度で北上していますが次第に発達し、30日頃には強い勢力を持って本州に接近する見込みです」



…た、台風?

しかも30日って


う、うそでしょ


その日は隼人と約束の日なのに…



(と、とりあえず隼人に電話…)

『おかけになった電話は電波の届かないところにあるか――』


とっさにこの事を知らせようと隼人に電話をかけたものの、あいにく繋がらなかった。


あ…今、食事中かな…


どうしよう。

でもまだ分かんないよね?


もしかしたら途中で進路が変わるかもしれないし…



"約束した祭り、二人で行こうな"



この時ふと隼人の言葉を思いだし

とっさにギュッと両手を握り合わせた私は、空に祈った。


「……っ」



お願い、神様……