『…――』

『正直、今日の試合も先輩がいなかったら負けてた』

『っそ、そんなことないよ!隼人だってすごいじゃん。スタメン?にも選ばれたんでしょ…?』

『うん…』

『どうしたの?なんか、隼人らしくない…』


昔から知ってる隼人は明るくてお調子者で

こんな弱気なこと、めったに言わないはずなのに…


『はは、だよな。俺も自分で自分が気持ちわりー(笑) けど優衣の声聞いて元気でたっぽい』

『……』

『絶対、優勝して帰るからさ』



"約束した祭り、二人で行こうな"



と、いつもの調子を取り戻したのか明るい口調で言ってくれた隼人。

その言葉に、私も電話越しから頷きかえす。


『なんだよ隼人、彼女と仲良く電話か~?(笑) 次メシだってよ。行かねーの?』

『おー今行く。わりっもう切るわ、また電話する。じゃーな優衣』

『あっ、うんバイバイ!』


やっと掛かってきた電話。

隼人ともっと話したかったけど、あっけなく通話は切れてしまった。


仕方なくベッドに腰かけた私は、枕元で眠るクマの隼人を抱き上げる。