「…うん、行ってきたよ。ユカリと」

「……」

「は、隼人も今度一緒に行こうよ。いつ空いてる?」


どさくさに紛れつつもデートに誘ってみた。

今日着ていった水着だって、ほんとは隼人に見せたくて買った物。

だからきっと隼人も喜んでくれると思ったんだ。


だけど……


「うん。行きたいよ。すげー行きたいけど…ごめん」

「……」

「思ったより部活が忙しくてさ、いつ休めるかはっきり言えない」


今もカゴに入った浮輪を見つめたまま、申し訳なさそうに話してくる隼人。

そんな隼人を目の当たりにして、私は小さく俯いた。


「…そっか」

「約束してたのにごめん」

「ううん、しょうがないよ!大会が近いんだもん…」


隼人が悪くないのは分かってる。

さっき下駄箱で先輩たちも同じこと言ってたし……


そう思って明るく返す私に、立ち止まった隼人がポツリとこんなことを呟いたんだ。



「……俺さ、時々心配になるんだ。優衣がいつか俺から離れていくんじゃねーかって」