「……」


あれ

もしかして今言われたのって…


今も目線は移動していく地面を凝視したまま…
この時、私はようやく意味を理解する。



(どうしよ、なんか気まずいかも……)



あんなの本気じゃない事くらいさすがに分かるものの
ナンパ自体されそうになったのは初めてで。

ついギクシャクと慣れない動きをしていたところに
前を歩いていた隼人が口を開いた。



「…優衣さ。もしかして今日プール行ってきたのか?」

「ん?」

「浮き輪、入ってっから」



隼人の言葉に、私はエッ?と顔をあげる。

すると自転車のカゴには、お昼プールで使った大きな浮き輪が。