「優衣!」


先輩たちが居なくなっていったのと同時に、隼人が廊下から走ってきた。


「はぁはぁ、わり…遅くなって。待ったか?」

「……」

「優衣?」


でも目はどこか一点を見つめたまま…すぐには反応しない私に隼人が顔をしかめる。

この時スッと差し出された手に、ようやく我を取り戻した。


「! あ、隼人…」

「どした?ぼーっとして。何かあったのか?」


急いで顔をあげると、そこには真顔で心配した様子の隼人。


とっさについ首を横に振った私は、こう答えていた。



「ううん!別に。何もないよ……」








薄暗くなった帰り道。


乗ってきた自転車を今度は引きながら歩いていると、ふいに隼人がその手を取った。


「チャリ、俺が持つよ」

「!あ…」


私の返事を待たずして自転車を押し進める。

そんな隼人に、私はどこか手持ち無沙汰になった姿でうつむいたんだ。



「ありがとう…」

「……」



一人トボトボとした足取りで隼人の隣を歩きながら

通学路の途中にあるコンビニ前を通りがかったとき、そこの駐車場でたむろしている男子高校生がいた。