午後6時過ぎ。

誰もいない昇降口で、私は隼人が来るのを待っていた。



"隼人、部活終わったら一緒に帰れる?下駄箱で待ってるね"



手元の画面には、前もって隼人に送っておいたライン。

向こうはようやくスマホに触れたのか、今さっき既読がついて返信があった。



"わかった。ダッシュで着替えてそっち行くから、もうちょい待ってて"



(あ、いつものニコちゃんスタンプ…)



内心ほっとした。

いつもと変わらない、明るい隼人からの返事に。


本音は隼人にどう思われたのか不安だった。


思いがけず広瀬先輩を見て動揺してしまったことは確かだけど

それでも今私が想っているのは隼人だけ、だから……



(…って、なんか今のセリフくさいや。は、恥ずかし…)



自分で自分が照れくさくなり

抱えこんだ膝に顔を突っ伏したまま悶えていると、前の方から4人組くらいの集団が歩いてきた。