「(ダ、ダイエット中なのに…重くなかったかな!?しかも勝手に寝ちゃうし、あぁもうどこから謝ればいいのか) ほんとにごめん!誕生日なのに…」

「あ、いや俺は全然。つかさっきまで向こうでテスト勉強してたし」

「……」


テスト…


そういえば明後日からだったっけ…

あんまり今回勉強できてないけど…


ハタ、とそんなことを考えた時だった。


隼人が言いずらそうに話を切り出してくる。


「ところでさ栗原、すげー言いにくいんだけど」

「?」

「見えてる」




見え…?


目はそっぽを見つめたまま、なにやら人差し指を下に向けてくる隼人。


ふとその方向に視線を落としてみると、ワンピースのスカートがめくれあがっていた。

その瞬間、私はとっさにバッ!とタオルケットを被せる。


「~~~っ」

「……」


もうやだ!

隼人の前でお腹は鳴るし、寝ちゃうし

穴があるなら入りたい!!


「(そ、そだ…なにか話題変え…) あっ、そうだケーキ!ケーキ食べない!?」


恥ずかしい格好を見せすぎて恥ずかしくなった私は、この時とっさにケーキの存在を思い出して立ち上がろうとする。

でも寸前で隼人に抱きしめられてしまった。


「!?」

「今は、いい」

「……」


あ……

その言葉に、床で抱きかかえられたまま動けないでいると、隼人が耳元でこう呟いた。


「今はケーキよりも、栗原を食いたい」