「……」


しばらくシーンとした空気のあと、

どこか冷静に戻った様子の隼人が私から手を離すなり、後ろの時計に目をやる。


「……ああ、そういやもう昼どき、だもんな」

「~~~っ」

「…め、飯にする?」


心なしかちょっと噴き出しかけてる隼人の言葉に、私は顔を赤くしながらもコクコクと頷いた。





それから二人並んで床に座りながら、朝頑張って作ってきたお弁当を隼人と一緒に食べた。

…お弁当と言っても、とりあえず隼人が好きそうなおかずをいっぱい作ってタッパーに詰めてきたから、
見栄えはあんまり良くなかったかもしれないけど……


それでも隼人はすごく喜んでくれて、
「栗原は良いお嫁さんになるな」なんて、褒めてまでくれながら、本当に美味しそうにガツガツ食べてくれたんだ。



よかったぁ、喜んでもらえて。


手作りの料理が食べたいなんて意外だったけど

少しは隼人の欲しい誕生日プレゼントになったかな……?



お腹がいっぱいになったあとは
二人で動画を眺めたり、隼人の好きな洋楽を教えてもらって一緒に聴いたりした。


それがちょうどバラードだったせいか
だんだんと子守唄のように聴こえ、いつの間にかウトウトしかけていたところ、インターホンが鳴る。


「? お客さん?」

「あ、宅急便かも。じーちゃんが誕生日祝いにフルーツ送るっつってたから」


ちょっと出てくる。

そう言って、玄関の方に走っていった隼人。


ふいに部屋で一人になった私は、口を押さえつつ小さくあくびする。


「……」


なんか…

食べたら眠くなってきた……。