「…じゃあまた。電話する」


思わずその場で固まる私をよそに

約束の言葉だけを告げた隼人は、これで本当に帰っていった。


そんな隼人をしばらく見送っていたあと、
かけていたスクールバッグが、まるで時間差のように私の肩からズリ落ちる。



「……」









はは隼人ってば、実は意外とキス魔!?


今日付き合い始めたばっかなのに、もう3回…

ほっぺにチューまで入れたら既に4回もキスされてしまった。



(てか、むしろこれがほんとは普通?世のカップルも皆こんな感じなの?今まで付き合ったことないから分かんない……)



とにかく分からないことだらけで、私の頭ん中はもう大混雑。


てか隼人もいきなり不意打ちとかずるい。ずるいよ…

さっきから心臓がバクバク言ってうるさくて、全然息できないのに。



心の中ではつい悪態をつきながらも
私は隼人に不意打ちでキスされてしまった自分の口元へ、そっと手を添えてみる。


「……」


生まれて初めてキス…してしまった。

隼人と。


先輩以外の人と。



そう思ったらどこか言葉では言いようのない気持ちが押し上げてきて、
必死に抑えるかのように私は思わずその場にへたりこんだ。


「……」



こんなんでこれから先、私の心臓持つのだろうか……