まるでメンズモデル雑誌から出てきたような出で立ちに、クラスの女の子たちからザワめきが起こる。


担任の先生のひと声でいったん教室が静止すると、その男の人は自己紹介を語り始めた。



「××大学三年、吉川努と申します。
教育実習生として、教科は社会科を担当します。
吉川先生と気軽に呼んでもらえれば。
三週間という短い期間ではありますが、どうぞ皆さんよろしく」


そう言って、教育実習生の吉川先生…は、軽く下げていた頭をあげると、クラス全体の様子を見渡した。


そんな先生を歓迎するように、教室内に拍手が沸き起こる。


「……」


……このとき吉川先生と一瞬、目が合ったような気がした。