「うん。実はね、私も今ちょうど隼人に会いに行こうと思ってたとこだったんだよ」

「……」

「だから会いに来てくれて嬉しい」


前までの私だったら恥ずかしすぎて絶対口に出来なかったような言葉が、
なぜだか今は不思議と無理なく言えてしまう。


そんな私に、隼人はびっくりしたような表情を見せたかと思うと
クセなのか、手を自身の首元へとまわした。


「…もし栗原が嫌じゃねーならさ、
俺、これからは毎日1組のクラス寄って栗原に会いに行くよ」

「!」

「…そ、そうでもしねーと、また栗原がベソかきだすかもしれねーだろ」

「……っうん」

「……」

「分かった。私も隼人が来てくれるの待ってるね!」


どうしよ、
嬉しすぎて泣きそうだ……


今なら聞けるかもしれない。
昨日怖くて聞けなかったことを。


「あ、あとね隼人。昨日の電話ではもう言いたいことないって言っちゃったんだけど、本当はまだ1個だけ隼人に聞きたいことがあって」

「ん?なに?」

「少し前になるけど、ラブレターくれた子にはその…もう返事ってしたの?」

「え、とっくに断ったけど」

「こ、断ったんだ。えと、なんて…?」

「……」


私の問いかけに、隼人が一瞬黙りこむ。

するとちょうどチャイムが鳴り響いた。