「っん…!?」

「…、」



一瞬、何が起こったのかよくわからなかったけれど…

全てを把握するには、そう時間はかからなかった。



あたし…

拓海くんにキスされてるっ…!?



それに気がつくと、途端に顔が熱くなって頭の中が真っ白になった。

まさかキスをされるなんて思わなくて…



「…っ…」



やがて口を離すと、拓海くんがフイッとあたしから顔を背けた。


…なんで…?


そう聞きたいけれど、あまりに突然だったのとまだ心臓がドキドキしまくってるのとで声が出ない。

なんだか今のキス一つで、さっき拓海くんと交わした話の内容すら全部どこかに吹っ飛んでしまって…。

あたしが異常なくらいの瞬きを何度か繰り返していると、拓海くんが自身の頭を掻きながら言った。



「あー……妃由、」

「!」


「…お、お前もさ、いろいろ思うことがあるかもしれないけど…

お前は…俺だけ見てればいいから」


「!」

「…っつか、俺だけ見てろ」

「!!…っ」



拓海くんはそう言うと、なんだか照れ臭そうに自身の頭をガシガシと掻く。

だけど、その手を下に下げると、ふいにあたしを真っ直ぐに見据えて…



「…っ!!」