立ち上がったその瞬間、直樹にそう言われて手首を掴まれた。
その手にあたしが少しびっくりしていると、直樹がいつになく真剣な表情で言う。
「お前さ、言い出したからには責任持って最後まで言えよな。何かキモチワルイじゃんか、」
「いや…でも、本当に何でもないし」
直樹のそんな真剣な言葉にも、あたしはもちろん芽衣のことは言えない。
だって…これを言ってしまえば芽衣が可哀想だし。
ってか、それよりも…
直樹が何か、いつもの直樹と違う気がするのは何でだろ。
あたしはそう思いながらも、直樹から手を離して言った。
「…まぁ、そのうちわかるよ」
しかし―――…
「……直樹?」
あたしがそう言ったその直後、あたしはまた直樹に手首を掴まれる。
もう…何なの?
何か、今日の直樹オカシイよ。
そう思っていたら、次の瞬間直樹があたしに言った。
「…お前は…妃由は、本当にこれでいいわけ?」
「え?」
「俺は…俺ほんとは、
妃由のことっ…」