そう言って、手に持っている普通の花火に火をつけた。



「は?何で、」



親友がこんなに困ってるのに、助けてくれないの?


そんな直樹の言葉にあたしが納得いかないでいると、直樹が両手に花火を持って言う。



「だって俺、別にお前らの恋のキューピッドやってるわけじゃないし?」

「いやいや、でもあたしらはアンタとっ…」



芽衣の恋のキューピッドやってあげてるじゃん。


しかしあたしは思わずそう言いかけると、すぐに言葉を詰まらせた。

…これは言っちゃマズイ。


あたしはそう思って、「……何でもない」ってそれを中途半端なまま終わらせると、直樹が怪訝そうにあたしに言う。



「…何、なんだよ」

「いや…別に?」

「気になるだろ、おい」

「気にしなくていいよ、」



あたしはそう言うと、直樹から逃げるようにその場から立ち上がる。


でも、



「待てよ」

「!」