…でも、くじけない。
この三日間で、何か一つでも拓海くんと大きな思い出を作りたいから。
あたしはそう思うと、花火セットをまじまじと見つめる拓海くんの傍に寄って言った。
「ねぇーえー、拓海くん」
「?」
「あたし、拓海くんと一緒に線香花火やりたいなぁ。皆でワイワイ騒ぐのも好きだけどさ、後で二人だけで線香花火やろうよ~」
そう言って、拓海くんの服の袖口を掴む。
拓海くんは、そんなあたしに一瞬だけ黙り込むと……
「…俺、線香花火はちょっと…」
そう言って、ダイニングテーブルの上に花火セットをまた置いてあたしから離れた。
「あ、拓海くんっ…」
「……」
そんな拓海くんを急いで呼び止めても、拓海くんは振り向いてくれない。
それどころかリビングを後にすると、また部屋に戻ってしまった。
……やっぱり。
全然、ラブラブのラの字もないじゃん。
これのいったい何処がラブラブだって言えるの…。
あたしはそう思うと、独り深くため息を吐いた。
…そんなあたしの様子を、直樹が少し離れた場所で見つめている…。