「い、いや…全っ然ラブラブじゃないよ。むしろその逆だよ。今日だって、水着姿褒めてくんないしずっと不機嫌なままだったし」



あたしはそう言うと、口を膨らませてキッチン台をバシッと叩く。

はっきり言うと、ラブラブのラの字もなかったんだから。

それを考えると、片思いの芽衣の方が幸せそうに見えるよ。


しかしあたしがそう思っていたら、芽衣がちょっと笑って言った。



「え~。それは、妃由が気づいてないだけだよ~」

「…え?」

「拓海くん、口ではああ言ってたけど、妃由が水着に着替えてる間ずっと落ち着かなくてソワソワしてたんだから」

「!」

「それに、妃由が加藤くんと喋ってる時もずっと不機嫌そうにしてたし。それって、ヤキモチってヤツじゃんね!

水着だって、妃由が可愛すぎて素直になれなかったんだよきっと」

「!!」



芽衣はそう言うと、「愛されてるなぁ、妃由は」とからかいの目であたしを見遣る。

その言葉を聞いて、単純なあたしはすぐにカァッと顔を赤くさせる。


…拓海くん、そんなにあたしのことを…?


…って、待て待て。もしこれが勘違いだったらあたしが恥ずかしいだけだし、「結局あたしの水着姿が可愛すぎた」ことだけを受け止めておこう。


でも、そう思っていたら…



「……っていうか、意外だね」

「え?」