妃由は俺に気が付くと、手を大きく振って笑顔を浮かべる。


…可愛い。


その仕草に俺は何とも思ってないフリをして妃由に近づくと、彼女に言った。



「…早いな」

「だってぇ~ずっと楽しみにしてたんだもん!」

「そ、そう」



妃由はそう言うと、満面の笑みで体をクネクネさせる。

一方、俺はその言葉に俺は思わず期待をして…


…何だ、それ。

どういう風の吹き回し?


だってそもそもこれ、絶対“デート”だろ!



俺はそう思うと、「じゃあ行くか」と妃由に言いかけた。




しかし…





「妃由」


「!!」





その時、何処かで聞いたことのある男の声が、妃由を呼んだ。




「あっ!拓海くんっ!」




…は?