…でも、よく聞こえない。

すると…



『だ、だからぁ…加藤くんに、会いたいの!』

「!!…へっ!?」



あたしが耳を傾けると、照れている芽衣が半ばヤケクソにそう言った。


…って、

か、加藤くんに会いたい!?


ちなみに加藤くんとは、あたしの親友である直樹のことだ。

そんな芽衣の言葉にあたしがビックリして言葉を失っていると、芽衣が照れたように言葉を続けて言う。



『じ、実はあたし、加藤くんのことが大好きで、』

「……」

『夏休み前になんとか告りたかったんだけど、そんな勇気なくて…。

でも夏休みって長いし、あたしどうしても加藤くんに会いたいの!ねぇ妃由、お願いだからあたしの恋に協力してよ!

…あ、木塚くんも誘っていいから!』



芽衣はそう言うと、「一生のお願い!」と電話越しにあたしに頼む。


…芽衣って、直樹のことが好きだったんだ。意外。

かなりビックリしたけど、まぁ大事な友達のためだ。快く協力してあげよう。


(拓海くんと思い出作りたいし)