国際テロ組織 NTDの元リーダーが出所する。その事実は世間でも、多少の注目を集めていた。無論、ミシシッピ刑務所の前には報道陣が詰めかけていた。出所時間の午前10時前、ゲイリー•ドンキー所長がマリオの牢屋に訪れる。
ずんぐりした太い体を揺らしながら歩き、鉄格子の前で立ち止まった。
「やあ、マリオ、調子はどうだ?」
微笑みながら、所長が話しかける。
「悪くはない。」
牢屋の壁を見ながら応える。