だけど一瞬何をされてるのかわからなくて、それがキスだとわかるまでに少しだけ時間がかかってしまった。

だって…

こんなに優しいキスが存在するなんて、あたしは知らなかったから。

唇から伝わる熱に思わず顔を赤くしていると、やがてそれがゆっくりと離れていく。

至近距離で交わる視線にあたしが照れてうつ向くと、修史さんが言った。



「…愛してるよ、鏡子」

「!」



そう言って、優しく微笑む。

修史さんはいつもしている黒縁メガネをいつの間にか外していて、いつもと違う雰囲気に少しドキッとしてしまった。

でもあたしはドキドキしたままじゃ悔しくて、呟くように修史さんに言う。



「…ゆ、夢と逆なんですね」

「え?」

「だって、夢じゃ“愛してるよ”って言ったあとにキスするから…」



あたしはそう言って、赤い顔を誤魔化すように笑った。

…心臓が、ドキドキしててうるさい。

修史さんの優しすぎるキスが、唇から離れない。


そう思っていたら…



「…っ、」



ふいにまた修史さんの顔が近づいてきて、あたしは二回目のキスをされた。


あぁ…どうしよう、すごく心地が良い。

もっと欲しいって、そう思ってしまう。


…ねぇ、これ、恋って決めつけちゃってもいいかな?修史さん、