「それは申し訳ないですけど…。 あたし、修史さんには凄く感謝してるんです。
それで…何かお礼がしたいなぁと思いまして…」
あたしはそう言うと、修史さんの顔をゆっくりと見上げる。
すると修史さんは一瞬きょとん、とした顔を見せたけど、やがてテレビの画面をリモコンで消して言った。
「え、そんなの別にいいのに。だって俺が勝手に鏡子のこと心配してるだけだし」
「でも、このままじゃなんかキモチワルイです!修史さんの言うこと何でも聞きますから!
…あっ。あたし、こう見えて料理は得意なんですよ!スイーツとかだってそれなりに…」
「…料理、ねぇ」
「!」
そう言ったはいいものの、あたしは修史さんのそんな呟きにはっと我に返る。
…そう言えば夕べ、夢の中であたしが修史さんの為に料理をしていたら、
そこでまた「愛してるよ」とか言われてキスを…。
……あ、やっぱ、料理はやめた。
あたしはそれを思い出すと、修史さんに言った。
「や、やっぱり……料理以外でお願いします」
「あれ、そうなんだ」
あたしがそう言うと、修史さんが「うーん…」って考え出す。
何を言われるのかドキドキしながら待っていたら、やがて修史さんが言った。
「…あ、そうだ」
「?」
「じゃあ、今度俺とデートしてよ 」