専門学校というのはすごい自分にとって場違いなところだと思った。

例えるならば子供がいきなり舞台劇でステージ中央に置き去りにされる感じ。



「おはようございまーす!」

朝、その日だけは遅刻しないようにと30分も前からいってみる。


先輩たちの挨拶。女性なれの少なかったこの頃は緊張からか声が出なかった。

「お、おはようございます・・・」

第一声はすごく小さな声だった。


実際に授業に入ってみるとそこは未知の世界。

まわりや同じ組になった人たちは一言でいうと

『美容師を目指すような人たち』だった。


自分はいままでになにもしたことがないようなただの凡人だ。


先輩たちが丁寧に優しく教えてくれたのだが、正直なにをしていたのかいまでも思い出せない。


ただ、マネキン相手に切ってみたときのその不細工な頭は今でも覚えている。


あぁ、いつかこの髪型をきれいにしてみせる。


美容師を目指そうと思った瞬間だった。