なんで私は2人と同居しているのか…

それは、一ヶ月前のお話。

私が中学3年の3月だった





その日は珍しくおかーさんがいた
嫌な予感がしたんだ。

ソファに座っているおかーさん

「凛香。話があるの」
真面目そうな顔のおかーさん


「なぁに?ママ」
おかーさんの前では「ママ」なんだ




演じないといけない



いい子だから



「パパの転勤が決まってね、
ママは付いて行くけど凛香は残って」
にっこり言ったおかーさん。




簡単そうに言った

久しぶりに話した会話がそれだった

私を残しても気にしない様子だった




「ママ?どこに行くの?」
私は意味がわからなかった


「NYよ〜。あなたなら大丈夫!」
なんで大丈夫って言えるんだろう…




言わなくちゃ



行かないで


「さみしい」って口に出さないと

行ってしまう…




「そっか〜 よかったねママ!」

口に出たのは嘘


なるべく明るく、素直に



ワタシハイイコダカラ


そう言い聞かせた。





「ありがとう。反対されたらどうしよう かと思ってたの」


安心してるおかーさん

言わなくてよかったんだ…

めーわくかけたくないし


でも前からそーだったし大丈夫か…

大丈夫。さみしくない。

寂しくないよ







「荷物は運んで置くから。この地図の
場所があなたの家よ!」

機嫌がいいのがわかる

やっぱりこれでよかったんだ

もぅ、どーでもいい。
早く切らなきゃ。辛い



「はーい!ママ疲れてるでしょ?
忙しいんだし、休んで〜」



いい子な私。嘘つきな私。


うまく笑えてるかな?




早く 早く 早く


出ていってよ

もぅ、私の前にいないで


心の声




「そうさせてもらうわ」
疑う様子もなく自分の部屋に戻っていった。

やっと切れる。

私はカッターを持った。

スーーっと入る線。遅れてくる赤い液体

ピリッとした痛み

達成感

何本もの線

ポタポタと落ちる液体

「頑張らなくちゃ」

迷惑かけないように








ーーー朝になった
何事もなかったように振る舞う
おかーさんはもう出て行く時間


「ママ〜 じゃあ行ってらっしゃい」

「凛香。本当にありがとう
でも、寂しくないようにしたから」




ーーバタン
そう言って別れた


簡単な別れ方。

おかーさんは最後まで泣かなかった




私のことなんてどーでもいいんだ

わかってる




「行かなきゃ」

もう、おかーさんに頼れない。


変なとこは冷静な私。



この頃は全部に冷めていたんだ



だって1人しか居ないんだから







教えてもらった場所はここから2駅先の
駅から10分のアパートだった



寂しくないってどーゆーことだろう

でも気にしなかった




それよりまずは大家さんに挨拶しなきゃ




ーーーピンポーン
「はーい!」
置くから女の人の声がした。




ーーガチャ
「あ、もしかして今日から
ここに住む人?」


髪の長いキレイな女の人だった


「はい、そーです!
よろしくお願いします。」

いい人そうだったし、うまくやれそう



「でも私はここに住んでないから。
奥の子に聞いてね。」



そう言われて覗いてみると
同じ顔の男の子が2人

かっこいい。同い年くらいに見える

「あ、もう行かないと…」

「ご、ごめんなさい」

慌てて出ていった女の人。

私はどーすればいいの?
ぽかーんとしていると

声をかけられた

「とりあえず入れば?」
冷たい声で言われた。


「はい、ありがとうございます」



怖そうだけど、上がらせてもらう。



「ねぇねぇ!僕は周ってゆーんだ
君は?」


「おい、周!」



「いいじゃーん これくらい」

ニコニコ笑っているもう一人

「えっと、鈴原凛香です!15歳で
もうすぐ高校生です!」



双子なのかな?

性格は全然違うけど



「僕らと一緒だね!涼!自己紹介は?」
促すように言った



「瀬戸 涼。中3でもうすぐ高校生」
ぶっきらぼうに言った
そう言って横を向いてしまった



「もぉ〜、照れないの!」

「照れてない」
照れてそうなんだけど!
横を向いていて顔は見えないけど!

クスッと笑いそうになる



「では改めて、僕は瀬戸 周
涼の双子の弟だよ!」



なかよくしてね〜と、手を出された

こっちの子は明るい


「よろしく。周くん?でいいかな?」

仲良くできそう



「周でいいよ〜 凛ちゃん!」



「俺も…涼でいい。お前のこと凛香でい
いよな?」


涼も話しかけて来た

「凛ちゃんの部屋はこっちね〜」


うん!って言いかけて、

「はぇ?」

変な声が出た。でもなんで?



「お前のおかーさんからの要望だ」


そーいえば寂しくないって言ってたけど
この事だったんだ…

もう今頃は飛行機に乗ってるし




「凛ちゃんは、いや?」


悲しそうな周の顔が近くにある。


「ううん。そんな事ないよ」


寂しくない…か
今更遅いんだけど? 笑えてくる



「じゃあ決まりだな。荷物届いてる。」
「僕も手伝う〜」


3人で部屋の片付けをしたので早く
終わった…

昨日と変わらないベット

そこに寝転がりながら




でもいいかもね…
少しはそう思った