「へー、たまたま、ねぇ……。じゃあ、何でアンタは鳳皇を呼び出した訳?」

「……っ、それは……」



アンタがあたしを狙ってるって言うからでしょうが!


そう言ってやろうと口を開いた時だった。


不意に聞こえてきたのは、携帯の着信音。


一瞬自分かと思ってポケットを触ったけど、直ぐに違う事に気が付いて顔を上げた。



「──もしもし」



どうやら中田の携帯だったらしい。


って、ちょっと待って。

これって逃げ時じゃない?


やっほーい!今の内にとんずらかましてやろう!



そう、心の中でガッツポーズした時。



「分かった」



……へ?

たった一言で電話を終了させた中田にズッコケそうになった。



ちょっとちょっとちょっと!

それはないんじゃない!?

いくらなんでも早すぎでしょーが!

もうちょっと長電話してよ!



何事も無かったかの様にスマホをポケットに戻す中田に思いっきり落胆するあたし。



「チッ」


逃げるタイミングを逃したじゃないの。


忌々しげに舌打ちをして、盛大な溜め息を吐き出す。それを見られていたのか、中田が面白そうにクツクツと喉を鳴らした。



「何よ」



言いたいことがあるならさっさと言えば!?

その笑い方すっごいムカツクんだよね!



「俺んとこ来いよ」