「ククク……」
そんなあたし達を止めたのは、鳥肌が立ちそうな程不気味な笑い声だった。
振り返れば、中田が顔を伏せて笑っていて。
「何よ」
その馬鹿にしたような笑い方にカチンときた。
「いや、面白ぇなと思って」
面白い？
「狙ってる奴から寄ってきたっていうのに、そのチャンスを逃がす馬鹿がいると思うか？」
「………」
ククッと喉を鳴らす中田にヒクヒクと口角が引き攣る。
「お前、面白ぇな。自分から罠に掛かりに来るし、見た目と違って気強ぇし」
「……っ」
「なぁ、鳳皇なんか止めて俺んとこ来いよ」
片目を細め、ニタリと笑う中田。
その不気味な笑みに、今度こそぞわりと鳥肌が立った。
“あの時”と同じ笑みだ。
初めて逢った時に見た、あの気持ち悪い笑み。
「……冗談やめてよ。アンタんとこになんて絶対行かないし。
……って言うか、あたし、あの人達とは関係ないから。あの時はたまたまあそこに居ただけ」
こんな危険なニオイしかしない男の元へ行くなんて真っ平御免だ。絶対に関わりたくないし。
