「妃奈、何処!?」



渡り廊下を突っ切って、二年の校舎へと入った。


下校時間が過ぎているせいか生徒の姿はなく、聞こえるのは何処かの教室で部活をしている生徒の声だけ。


とりあえず一番近い教室を開けてみるけれど、教室の中には誰も居ない。



「何処!?何処に居るの妃奈!!」



そう叫んだ時、カーテンの隙間から数人の人影が見えた。


窓へと駆け寄っていき、思いっきりカーテンを引く。



「妃奈!!」



窓の向こうに居たのは、未だ担がれたままの妃奈と五人の男女達。



「妃奈……!!」

「……っ、凛音ちゃん!」



窓を開けて叫ぶと、俯いてた妃奈が勢いよく顔を上げ、私を呼んだ。


ポロポロと大粒の涙を流している妃奈。


その悲痛に濡れた表情に抑えていた感情が爆発した。



……許さない。


絶対に許さない!!




「妃奈を離して!!」




勢いよく窓枠に飛び乗って、地面に降り立つ。


その勢いのまま女達の元へ歩いていけば、一人の女が険しい表情で叫んできた。



「こっちに来ないで!!」


「………」


「この子がどうなってもいいの!?」



その言葉にピタリ、足を止める。




「来たら──」


「あたし、直接来いって書いたよね?」


「………っ」


「友達攫うなんて卑怯なマネすんな!!」




妃奈は関係なのに。

何も関係ないのに。


あたしのせいで怖がらせてしまった。



あたしの、せいで。