あたしはボールに向かって思いっきり走って飛んだ。
───バシッ!
「上がったぞ!打て!」
コート内から仲間の声が聞こえた。
良かった!ちゃんとレシーブできた!
自分のレシーブに満足し、立ち上がろうと床に手をついた時。
「……っ」
右肩に痛みが走った。
……あぁ、あの時にぶつけたんだ。
レシーブした時、右腕を出しながら飛んでそのまま床に滑り込んだ。
多分、その時痛めたんだろう。
「東條さん!!大丈夫!?」
うずくまってるあたしに手を差し延べてくれたのは、相手のチームの矢野くんで。
「大丈夫だよ!ありがとう。」
手を引っ張って立たせて貰った。
「俺があんなとこに打ったから。……右肩押さえてるけどもしかして怪我した!?」
「矢野くんのせいじゃないよ!あたしが無茶したから!……右肩、ちょっと打っちゃったみたい」
「大丈夫!?保健室行こう。連れて行くよ」
「矢野くん大丈夫だから!もうすぐ授業終わるし。着替えてから行くから。ありがとう」
あたしの手を握り、出口に向かおうとする矢野くんを慌てて引き止めて、断った。
「でも……」
「大丈夫!じゃあ行ってくるね!」
「ごめんな、怪我させて」
何度も謝ってくれる矢野くんに「じゃあ」と手を振り、チームメイトの所へ行って事情を説明をする。
その後、応援してくれてた妃奈にも同じ説明をして、先に教室に戻っててとお願いした。