ムカつくムカつくムカつくー!!


心の底からムカついているくせに、この胸中から湧き上がってくる奇妙な感覚はなんなんだろうか。


触れられている場所が変に熱い。

熱くて熱くて、もう、駄目だ。



「離して!!」

「………っ」

「……あ」

「上等だ」

「え、いや、あの……」



やっちまった。


離して欲しいからって十夜のお腹に右ストレートはやりすぎた。


一瞬にして切り替わった十夜のオーラに青褪めるあたし。



「と、十夜さ───いや、十夜様」



ジリジリと詰め寄って来る十夜に身の危険を感じたあたしは、



「あああああたし、頭痛くなっちゃった!ソファーで寝るね!」



両手で“待った”のポーズをしながら後ずさった。



……ヤバい。本気で殺られる。

十夜が総長様だって事忘れてたよ。やっぱりあたしは大馬鹿者だ。



「オイ」

「ひぃぃぃぃ!」



伸びてきた手に咄嗟に身構えるあたし。


けれど。



「行くぞ」

「……はっ!?」



その手はあたしの顔面ではなく腕に向かってきた。


ガシッと掴まれた腕はそのまま強引に引っ張られて十夜の方へ。