さて、と。
クルリ、半回転して玄関扉に向き直る。
……はぁ。入りにくいなぁ。
十夜、絶対怒ってるよね?
約束すっぽかしちゃったんだもん。
入るの怖いなぁ……。でも入らない訳にはいかないし。
………よしっ!自分が悪いんだからここは覚悟を決めて怒られよう!
そう心に決めて、決心が鈍らない内にそっとドアノブを回した。
ドアを数センチ開けて隙間から部屋の中を覗くと、高級椅子、もとい、総長様特等席に座っている十夜とバッチリ目が合った。
わっ、目が合っちゃった!
「こっちへ来い」
「は、はい……」
目が合った十夜は表情一つ変えずそう言って、早く来いと顎でそう促してきた。
逆らえる雰囲気ではないので大人しく従っておく。
……お、怒ってる、よね?
少しずつ近付いて行きながら十夜の様子を探ってみるけど、無表情過ぎて怒ってるのか怒ってないのか全く分からない。
でも、怒りオーラが出ていないからもしかしたら怒っていないのかも……。
特等席のすぐ真横まで近付いていくと、ゆっくりと椅子から立ち上がった十夜。
そのまま向かい合う形になり、見下ろされる。
……や、やっぱり怒ってるかも。
だって威圧感が半端無いんだもん。