「どうしてここに千暁くんがいるの!?」
「捜してたんです。ちょっと電話してくるんで待ってて下さい」
「え?あっ、うん」
胸を撫で下ろしながら携帯を取り出す千暁くんに、何が何だか分からないまま取り敢えずコクリと頷いておいた。
千暁くんはあたしが頷いたのを確認すると、ペコリと頭を下げて小走りで保健室を出て行く。
え、ちょっと待って。どういうこと?
あたし捜されてるの?何で?
頭の中が混乱して何が何やら分からない。
もう一度携帯に視線を落とし、着信履歴を見る。
多分、千暁くんは鳳皇の幹部の誰かに連絡しに行ったんだと思う。
じゃああたしは連絡しなくていいのかな?
そう思った時、さっきと同様バタバタと廊下を走る音が聞こえてきた。
今度は一人じゃなく複数だ。
「凛音!!」
バンッと扉の音が響いた後、静かな保健室に響き渡ったあたしの名前。
再び響いた足音は真っ直ぐに此方へと近付いてきて。
「凛音!!」
シャッとカーテンが乱暴に引かれた。
「え、陽?」
肩で息をしながらあたしを見下ろしているのは陽で、その表情は何故か険しい。
「なんで保健室にいるんだよ!何かあったのか!?もしかして怪我したとか!?」
凄い勢いであたしの傍まで近寄ってきた陽は、あたしの肩をガシッと乱暴に掴んだかと思うと上から下まで視線を這わせてきた。
ちょ、ちょっと陽くん、怖すぎるんですけど!