うんうんと一人で頷いた時、目の前に現れたのは見慣れた踊り場。
ここまでくればもう誰にも見つからないだろう。
そう思って、走る速度を緩めた。
この階段を下りれば目的地の裏門はすぐ目の前。
バレずに済んで良かった、と胸を撫で下ろしながら鼻歌混じりに階段を下りていく。
何買おうかなぁ。
服も欲しいし靴も欲しい。
そう言えばリップもう無くなりそうなんだっけ。
頭の中で欲しいものをピックアップしながら軽快に階段を下りている時だった。
──ドンッ!
突然、背中に受けた衝撃。
それと同時に、前へと傾いていく身体。
「っ、」
落ちる!!
そう脳内で叫んだ時にはもうどうする事も出来なくて。
次の瞬間には、右半身を階段に思いっきり打ち付けていた。
階段の上段にいたせいか、打ち付けた後も勢いは止まらず踊り場まで転がり落ちていく。
「……っ、」
ドンッと勢いよく壁にぶつかり、ようやく停止した所であたしの意識はそこで途切れてしまった。