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「じゃあ帰っていいぞー」



急がなきゃ!!



「妃奈ごめんね!あたし急いでるから先帰るね!バイバイ!」



先生の締めの一言で勢いよく立ち上がったあたしは、素早く鞄を持ち、「じゃあ」と片手を上げた。



「えっ!?ちょ、凛音ちゃん!?」

「また明日!」



慌てふためく妃奈を残し、その場から一目散に駆け出す。




「凛音!?ちょ、お前──!」

「陽、バイバイ!」



教室から出ようとした時、タイミング悪くドアの所で陽と出くわしてしまった。



今の今まで来なかったのに何でこんな時に来るのよ……!




飛び出してきたあたしを見て驚愕している陽。

お昼過ぎに登校してきたにも関わらず一度も授業に出なかった陽が此処に来た。

という事は、きっと何かあるに違いない。


そう思ったあたしは、何か言いかけた陽を軽くあしらって教室を後にした。







危ない危ない。もう少しで捕まる所だったし。


陽がなんで教室に来たのかは知らないけど、煌に頼まれて迎えに来たんだったら危機一髪だった。


思い違いだったらいいけど。

でも、そうじゃなかったら、今の対応で陽が不審に思ったかもしれない。

そうなると、煌に連絡している可能性が出てくる。



ヤバイ。モタモタしてたら捕まっちゃうかも。早く学校から出なきゃ。




追い掛けてくる煌をリアルに想像し、ブルリと身震いする。

腕に持っていた鞄を肩にかけ直し、持ち手をギュッと握りしめて走る速度を速めた。