「──チッ」
中田の舌打ちがリアルに響く。
こうなったら止められないという事ぐらい馬鹿なあたしにでも分かっていて。
『まぁ、それも此処でコイツを潰したら必要なくなるんだけどな』
脳内で渦巻くのは、さっきの爆笑男の言葉。
ここで爆笑男達を止めなければ中田が潰れるかもしれない。
そうなると、中田の元へ行かなくてもよくなるし、当然爆笑男達の元へも行かなくて済む。
だったらあたしは──
「──行くぞ」
この喧嘩を止めない。
失礼男の一声で四人が足を踏み出した──その時。
「お前等何してるんだ!」
後方から、突然叫び声が聞こえてきた。
その声に一斉に振り返ると、真後ろにはいかにも怖そうな先生の姿があって。
先生の突然の出現にみんなの足がその場に縫い止められた。
「残念だったな」
「……っ!」
不意に聞こえてきた声。
しまった……!
そう思ったのと腕を掴まれたのはほぼ同時だった。
「凛音!」
手首を掴まれ、抵抗する暇もなく連れて行かれる。
「テメェ!!」
「奴等を止めろ!」
あたし達に気付いた陽達が此方に向かって走って来るけど、中田側の人間がそれを阻止しようと陽達の前に立ちはだかった。
「オイ、お前等止めろ!!」
先生は先生で掴み合う爆笑男達を必死に止めようとしている。
……あの男?