僕は巳甘さんの情報を調べる為、夜龍馬さんと島原に来ていた。
「何故わしがついていかんといけんのじゃ。」
「奢りますから。」
「それをはよぅ言わんかい。おーい、酒じゃ!酒もってこい!」
「龍馬さん、飲み過ぎては駄目ですよ。」
龍馬さんが芸妓に酒を持ってくるように頼む。
僕はそんな龍馬さんをみて呆れていた。
暫くして襖が開けられた。
ガラ
「幾松いいます。酒をお持ち致しましたどす。」
幾松さんがやってきた。
「あら、誰かと思うたら桂はんと坂本はんやない。」
前来た時よりも嬉しそうな幾松さん。
「あとはうちがやるさかい。あんたらは戻ってええよ。」
幾松さんは他の芸妓達を追い出す。
芸妓達は案外すんなり部屋から出た。
部屋から全員出るのを確認すると幾松さんは僕の隣に座った。
「桂はん、久しぶりやな。」
僕の腕に巻きつく幾松さん。
隣にいる龍馬さんは軽く幾松さんを睨んでた。
「……」
「今日は巳甘来てへんの?」
「そうですね。」
「残念どす。」と残念そうに言う幾松さんは言葉と違って表情は嬉しそう。
分かりやすい人ですね。
「巳甘さんは一ヶ月見てませんよ。」
「そうどすか。喧嘩でもしたん?」
「違いますよ。巳甘さんはいなくなったんです。」