「え?巳甘、気付いてないんか?」


「へ?」


あたしが間抜けな声を出すとお龍ちゃんは溜息をついた。


え?


あたしなんか変な事言ったったけ…


よく分からないや。


「ねぇ、お龍ちゃん。」


「ん?」


聞いて見たかった事あったんだ。


「たまにね小五郎さんの事考えると心臓が煩くなったりね、泣きたくなるの。」


あたしがそう言うとお龍ちゃんは嬉しそうに立ち止まってあたしの手を取った。


「な、何?お龍ちゃん。」


「それはほんまやな?」


「う、うん。」


「いつからや?」


「うーん…、最近かな?」


「ついにね…」と独り言のように呟くお龍ちゃん。


「あの…お龍ちゃん?」


「うちは嬉しいわぁ!」


「え?」


「ほら、はよ行かんと心配するから行くよ。」


「わわっ!」


お龍ちゃんはあたしの手を掴んで皆の居るお座敷へと向かった。