夕焼けに照らされたオレンジ色のカーテンが、一瞬の強風に大きく膨れ上がる。

本当は、
今一番不安になってたことだった。



省吾の言葉で、
私は圭吾の手術のことを知って。

省吾の言葉で、
私は圭吾を海外に行かせた。


でも、だからなに?



「私が言うのも変だけど…、省吾先輩のこと信じて大丈夫なの?どう考えても……」


「春乃っ!」



私は春乃の言葉を遮った。




私は省吾にひどいことしてた。

ほとんど裏切ったみたいな感じになってた。

それでも省吾はいつも笑顔で、私に優しくしてくれてたんだ。



だんだん不安になって、たぶん私を信用し切れなくなって

ちょっと堅い表情になることや、冷たい態度になることもあったけど

今でも私を助けたいって…



「省吾のこと、お願いだから悪く言わないで…」



そして大会が終われば、私は省吾に別れを告げる。

これ以上、省吾に対してひどいこと言えないよ。



「ごめん…。でも私は陽奈が心配なだけだよ」


「うん、わかってるよ。…私こそごめんね。ありがとう」



わずかでも疑おうとしてしまったことはある。

私と圭吾の周りで起こったいろんなこと、もしかして省吾が関係してるんじゃないかって。


でも自分のやってることを棚に上げて、そんなふうに考えてしまう私自身がイヤだった。



「省吾はきっと、関係ないよ」