また空を見たり、地面を見たり。

二人とも久しぶりだから、なんとなく次の言葉に戸惑ってしまう。



「「ねぇ」」


「あ、春乃が先に言って」


「いいよ、陽奈が言って」


「でも…」



クスッ…

お互いに目を合わせて
小さく笑った。

少し、照れくさい。



「じゃあ私に先に言わせて。…春乃、本当にいろいろごめん。私、全然周りのこと考えられてなかった」


「もういいよ。どうせみんな、実らない想いに一人であがいてるだけなんだからさ」


「そんなこと…」



私がもう少し考えて行動できてたら、こんなことにはならなかったかもしれないんだ。

ただ結果的には、選ぶ方向は変わらなかったと思うけど。



「省吾先輩も米倉くんも追っかけが多いから。陽奈の方が大変だったんじゃない?」



春乃…心配してくれてるの?



「陽奈が米倉くんと仲良くしてるとこ見てさ、文句言ってる子も結構いたんだよ」


「うん…わかるよ」



でもどうしようもなかった。

私だって、誰にも圭吾をとられたくないと思ってたんだもん。

その答えが、これなんだもんね。



「それで、春乃の話は何?」


「ううん、なんか今さらだから」


「え!何?」



そんなとこで止められたら余計気になる。私はもう一度真っすぐに春乃を見つめた。



「……なんていうか、さっき省吾先輩とすれ違ったから。米倉くんがいなくなって、もしかしてまた省吾先輩に戻る気なのかなって」


「春乃…」


「ごめん!なんでもないよ」


「別れるよ」


「えっ」


「省吾とは別れる。私は、圭吾と一緒にいるって決めたから」


「でも…、米倉くんが戻ってくるかなんて分からないし、省吾先輩にだって何されるか……。なんかいろいろ聞いてるからさ」



不安そうに顔を歪ませる。

春乃、本当に私のこと心配してくれてるんだね。

ありがとう…



「圭吾は、ちゃんと帰ってくるよ」



私は自信を持って答えた。