夜の公園に響いた私の声。
圭吾だけじゃなくて、他のメンバーもこっちを見て驚く。
「野崎」
「バンドやめちゃダメだよ。それに、手術だって受けなきゃダメ!」
「は?手術?
…圭吾、なんだよそれ」
私の言葉に、茜さんも目を大きくした。
隣に立つ圭吾の表情も、一瞬にして硬くなってしまう。
「お前それ…」
「圭吾がこんなことで一緒にいてくれたって、私全然嬉しくないから!」
必死で泣くのを我慢しながら、私は一生懸命訴えた。
だってそれくらい真剣に言わないと、絶対圭吾は行ってくれない。
「お前分かってんのか?そんなことしたらどれだけの間ここを離れると思ってるんだよ」
「そんなこと言ったって、治せるのに治さないなんて…私の方が辛いよ!」
わかってよ圭吾。
私が願うことは、もう私一人のことなんかじゃないんだよ。
「…このままここにいれば、お前のことだって守ってやれるんだ」
「そんなんじゃ変われないよ」
「何が」
「圭吾変わるって言ったじゃん…。その肩治さなかったら、きっといつまでもたくさんのこと引きずる」
圭吾の愛情が、一緒にいてくれようとする優しさなら
私の願いは、圭吾のこれからが変わってくれること。
圭吾が今まで背負ってきたものから解放されること。
しがらみのない自由な心でもう一度惹かれ合って。
想う気持ちに制限なんてしないで。
また新しく出逢ったかのように笑い合えたら、きっと今よりも毎日が眩しく感じられるはずだから。
「私は大丈夫だよ。圭吾のおかげで強くなれたし、学校のみんなとだって自分の力で上手くやるから」
「でも…」
「行ってよ圭吾。ちゃんと肩治して、自由に動かせるようになって…。そしたら今度は、目の前で私に圭吾の曲を聴かせて」