頭を撫でるように抱き寄せれば、倒れ込むように二人の影が重なる。
絨毯に波打った野崎の髪に視線を落とすと、抑え込む心とは反対に感覚は誘われていくようで。
「圭吾、好きだよ…」
「うん…」
自分の気持ちを表現する方法が、これで合ってるのかは分からない。
ただ野崎に目を閉じられると、そんな迷いさえ消えてしまいそうになるから。
「野崎……大丈夫か」
声も出さずに頷く表情に、オレはそのまま深く口付けた。
体の力が抜けるように沈んでいくと、指の間を抜ける髪にも吐息が漏れる。
頬を伝った手の平は静かに首のラインをなぞり、肩にかかる制服にはスッと風が吹き込んだ。
野崎……
そうだ…このままどこかへ落ちてしまえたらいいのに。
何も考えなくていいような、そんな場所に溶けていけたら…
「……っ」
「…どうした?」
急に硬くなった野崎の体。
最初はただの緊張だと思ったけど、少し震えてるようにも感じた。
「お前…」
オレがその手を止めると、野崎は顔を埋めるようにオレの胸に抱きついてきた。
「なんでもない!なんでもないからっ!お願い…圭吾……」
そう言った手からは、さっきよりも大きな震えが伝わってくる。
オレは野崎の様子に愕然とした。