3月14日
すでに高校の卒業式を終えていた俺たちは、
一緒に出かけていた。
卒業旅行、ということで一泊二日することになっている。
今日は架歩がずっと行きたいと言っていたテーマパークへと足を運んでいた。
「拓斗!あっちでパレードしてるよ!見に行こう!」
いつもは見せないような子どものような姿。
「そうだな」
「ほら、早くいこ!」
彼女は俺の手をつかみ、走った。
普段は手を繋ぐことも躊躇うけど、今はそんな素振りを見せなかった。
掴まれているとはいえ、繋がれた手を見て自分の頬が緩むのが分かった。
パレードが行われている近くまでくると、少し息が上がっていた。
「あっ...、手...ごめん」
ぱっと手を離される。
まだ温かさの残る手。
「別に離さなくてもいいだろ?」
そう言って手を差し出した。