その年のバレンタイン。

朝、自分の机の中には差出人の名前のない箱が入っていた。

先生に見つかったらやばい、と思いカバンに突っ込んだ。

その日の授業はボーっとしていた。

くれるような人に心当たりがない。

そんなことを考えていた。


部活が終わり、校門を出てすぐのところに女子がたくさんいた。


「拓斗くん、これもらってください!」

「私のも!」


結局、持ちきれないくらい受け取ってしまった。

後ろから来た友達に助けを求め、

家まで一緒に運んでもらった。


その途中で、甘いものがあまり好きではないという話をした。

すると友達は、羨ましいな、と笑った。