中学2年生のある昼休み、俺は架歩の泣いている姿を見た。

初めて、女の涙がこんなにも美しいものなのかと思った。

同時に俺が、こいつを守ってやりたい。そう思った。

今思えば、これが恋の始まりだったんだ。


「大丈夫か?」

これがきっと、俺たちの最初の会話。

泣いている理由は教えてくれなかったけど、

落ち着くまで彼女の隣に座っていた。

俺が、そうしたかったんだ。

どうしても、彼女の傍にいたくて。


彼女はありがとう、と一言、

涙を必死に拭いながら言った。


無理するな、俺の前では強がるな。