架歩と俺は同じ中学出身だ。
…といっても、特別仲がよかったわけでもない。
学年の人数が多かったから、一度だけしか同じクラスにならなかった。
だけど、彼女の存在は大きかった。
白く透き通った肌、
ぱっちりとした二重の目、
柔らかい栗色のショートヘア、
すらっと長い手と足。
少し控えめだけどよく笑う、
いつも友達が傍にいる、
誰にでも優しい。
…そんな、小説や漫画に出てくるような子だった。
世に言う"美人"の存在となると、
どこのクラスの男子も黙ってはいない。
いつも話題に上がるのは、架歩の事ばかりだった。