「あ、き」


言葉がうまく出ない。




10秒経っただろうか。


時が止まったように感じた。



震える手の感触だけが、これが現実である事を知らせてくれた。


『じ、ジローくんの…、』


震える声。


「…うん」

続きを待つ。



『あたしをジローくんの…、



ジローくんのものにして欲しいの…』




消え入りそうな声でつぶやく。